ソニーの技術力をベースに新しいマーケティングテクノロジーを創出。 ソニー×ベクトル、ジョイントベンチャーの裏側。

ソニーの技術力をベースに新しいマーケティングテクノロジーを創出。 ソニー×ベクトル、ジョイントベンチャーの裏側。
コミュニケーション領域のFAST COMPANYとして「いいモノを世の中に広め人々を幸せに」というビジョンを掲げるベクトルグループ。コミュニケーションを軸に世の中の流れを捉えた様々な事業・サービスを展開することにより、常に進化を続けています。「Talk」ではベクトルグループとシナジーを生みながら協業するパートナーに、協業内容や一緒に世の中へ提供したい価値についてお話を伺います。

今回取材したのは、株式会社ベクトルがソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社と一緒に設立した新会社、SoVeC(ソベック)株式会社。同社は「テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる」をミッションに掲げ、AIを活用した動画自動作成サービスの提供、次世代のXRソリューションの提供などを行っています。SoVeCの立ち上げに関わった、同社代表取締役社長の上川 衛氏(元ソニー株式会社 ビジネスディベロップメント部統括部長)と、同社取締役の重松 俊範氏(ベクトルから出向)に、新会社設立に至った背景についてお話を伺いました。
上川 衛
SoVeC株式会社 代表取締役社長

ソニーにおける様々なビジネスカテゴリーの事業企画・戦略、新規ビジネス開発に従事した後、ネットワークサービス事業の立ち上げや、本社ビジネスディベロップメント部門におけるオープンイノベーション推進を行った。
グローバルな視点をもとに、最新技術トレンドを基にした事業開発を得意としており、社外においてはスタートアップメンター活動も積極的に行っている。
2019年4月より、SoVeC株式会社の代表取締役社長に就任。
重松 俊範
SoVeC株式会社 取締役

読売広告社で中国および台湾支社の立上げを行い、両支社の社長を務めた後に帰国。
その後、電通のグローバルビジネスセンターで従事した後、C CHANNELの執行役員を経て、2020年2月にベクトルにジョインするタイミングで、SoVeCが掲げる「テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる」というミッションに惹かれSoVeC取締役に就任。

PRパートナーを経て、ジョイントベンチャーを設立

まず最初にSoVeC立ち上げの経緯を教えてください。

上川:もともと、ソニーグループはベクトル社とお付き合いがあって、さまざまな事業におけるPR業務をサポートいただいて来ました。特に、ソニー銀行の立ち上げや、新サービスのNURO 光など、新しく立ち上げたサービスのPRにおいては、インパクトのあるプロモーションを成功させてきた実績があります。

重松:ソニーグループとのお取引がベクトルグループの成長に大きく影響を与えているという話を社内でよく聞きます。

上川:それはありがたいですね。ソニーグループ全体において、新規事業創出の取り組みは盛んですが、ソニーネットワークコミュニケーションズとしても、AIやIoTなどの最先端技術をベースにした新規事業を創っていこうという流れがあり、その一つの分野としてマーケティング・テクノロジー分野への進出も検討していたんです。

とくにPR領域は、現代において、モノの良さを正確に伝えたり、いいモノの情報を広めたりする役割が非常に魅力的であり、そこに新しいテクノロジーを掛け合わせることで、さらに面白いソリューションがつくれるのではと考えていました。

ベクトル社は、テクノロジーを大事にされていて、新規事業の創出にも非常にアグレッシブな印象がありましたので、我々のビジョンと合うなと考え、協業に踏み切りました。

上川さんが代表取締役社長に就任した経緯を教えてください。

上川:私に声がかかったのはSoVeCの骨格がある程度できてからでした。元々はソニー本社でビジネスディベロップメントという仕事をしていて、いろんなパートナー企業とテクノロジーをベースにした新しい事業機会の探索や新規事業の種まきを行っていました。その経験が長かったので、新会社の立ち上げをやってみないかと声を掛けてもらったのだと思います。私自身、ベクトル社との協業には非常に興味がありましたので、ぜひやりたいと、返事をしました。

ソニー社としては、他社と協業しての新規事業づくりはこれまでも行われていたのでしょうか?

上川:はい。長い歴史の中で様々な形で行われてきたようですね。例えば、家庭用ゲーム機のプレイステーションは、エレクトロニクスのソニーと、グループではありますがエンタテインメント企業のソニーミュージックが合弁で設立したソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が創りあげたビジネスです。

また、携帯電話事業をグローバルに展開するために、スウェーデンの通信機器メーカーのエリクソン社と一緒にソニー・エリクソンという合弁会社を作ったり、新しい領域に進出する際、その世界のプロフェッショナルと組んで事業を起こしたりすることは多く、それが現在のソニーグループの多様な事業ポートフォリオに繋がっているようですね。

今回のベクトル社との協業は、その座組からは、どんなビジネスを展開していくのかがすぐに想像がつかないと言われており、その分可能性が大きく、新しい領域で面白い事業展開が出来るのではと期待しています。

重松:我々としても、PRの知見はあるものの、社内にR&Dの部署はなく、ソニーグループのようなテクノロジーも自社にはないので、自分達だけでの新規事業立ち上げに時間がかかるという課題を抱えていました。

だからこそ、ソニーネットワークコミュニケーションズ社と協業することで、よりスピーディーに新しい挑戦ができると考えました。ソニーグループが持つさまざまな最先端技術との連携により、新しいビジネスを開拓していけることに大きな期待があり、非常にワクワクしています。

2社の良さを取り入れつつスピーディーに3つの事業をリリース

SoVeC社を立ち上げるとき、すでに新しいサービスの構想はあったのでしょうか?

上川:私は会社立ち上げの数ヶ月前にジョインしましたが、実はその段階ではまだ何をやるかは完全には決まっていませんでした。領域としてはマーケティング・テクノロジーと定めていたのですが、社内では動画サービスの他にも、AIを活用したマーケティングの新領域などいろんな議論がありました。逆に言えば、その領域の中であれば何でもやれるという状況が非常に面白いと感じましたね。

とはいえ、最初のプロダクトである動画サービスの骨格は既にありました。私を含め現在のSoVeCを構成するキーメンバーで、その骨格にどんどん肉付けしていき、今のサービスの形に仕上げていきました。

こうしてスタートした「SoVeC Smart Video」は、アジャイルな開発環境により、サービスリリース後も2週間に1回のペースでバージョンアップして進化を続けています。また、その後も2つの新サービスを矢継ぎ早にローンチしていますが、それは、技術やアイデアなどのビジネスの種を次々にインキュベーションしていく我々のジョイントベンチャーとしてのカルチャーとなっています。重松さんがメインで担当している「そのまま展示会」、先月リリースした「XR CHANNEL」など、企業のマーケティング活動をサポートする新しいサービス群です。軽いフットワークでサービスの開発を行い継続的に進化させていくのが、SoVeCの良さなのかなと思っています。

ソニー社とベクトル社それぞれのカルチャーがあるなか、組織づくりはスムーズに進められたのでしょうか?

重松:最初は大変でしたね。SoVeCには現在十数名ほどの社員が所属していますが、会社によって考え方の違いがあり、それをまとめるのが難しかったです。

上川:そうですね。技術開発やプロダクトの設計を担っているソニー側のメンバーとしては、高いクオリティーでサービスを提供したいという想いが強いですし、実際にサービスのPRや販売を手がけるベクトル社からすると、スピード感のあるサービス開発をと思う気持ちも強かったのだと思います。

立ち上げ期には、会社を一つにまとめるため、ベクトル社の現社長(当時副社長)長谷川も交えた泊まり込みの合宿を実施し、SoVeCが目指すものや方向性について集中してディスカッションを行いました。そこで生まれたのが今掲げている「テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる」というミッションで、これが社内で新しい取組みを行う際の判断基準になっています。

今は良い具合にお互いの考え方やアプローチを理解し、ベクトルの良さも、ソニーの良さも、どちらも取り入れながら事業を進められていると思います。

新型コロナによりDXの価値が顕在化し、推進する企業が増えた

新型コロナウイルス感染症の流行は、SoVeC社の事業に何か影響を及ぼしましたか?

重松:メリット・デメリットの両方があります。例えば、マーケティングの予算を縮小する会社があったり、対面営業ができなくなったりしたのはデメリットだったと思います。また、人がどこかに出かけることを前提につくったアプリケーションがいくつかあり、それらのサービスはそもそもの前提環境が覆ってしまいました。

上川:一方で、これまでオフラインでやっていたことをオンラインで代替する必要が出てきたので、動画を新しくつくり始めたり、これまでリアルの場で行っていた展示会をオンラインでやるようになったりと、伸びる事業も多くありました。事業への影響としては、結局、メリットとデメリットが相殺されたかなと思います。

緊急事態宣言を含め、ある意味強制的にDXが進むなか、今後の企業のマーケティングやPRはどのように変わっていくのでしょうか?

重松:今後はひょっとすると、VRやARがもっとビジネスに使われるようになるかもしれません。会議や、会社の周年イベントをオフラインからオンラインへと切り替える企業が出てくると思うのです。

たとえ新型コロナが収束したとしても、これまで通りオフラインで集まる必要はないと考える企業も出てくると思います。それに備えて、企業向けの新しいソリューションを考えていきたいと思っています。

上川:私もそう思います。これまで、多くの企業でDXに関して積極的に取り組んだ方が良いと考えてはいたけれど、いろいろな要因から新しいシステムの導入を見送るところが多かったのではないかと思います。それがコロナ禍を機にDXを進める価値が顕在化し、推進する企業が増えてきました。この状況をチャンスと捉え、良い体験価値を供給し、コロナがどうなっても継続して導入いただけるサービスをご提供できると思っています。

お客様から求められるサービスを提供するには、必ずしも最先端の技術を提供する必要はありません。既存の技術の組み合わせでもお客様にとって価値のあるサービスになります。技術の新しい古いにとらわれず、自社で開発している技術はもちろん、場合によっては他社の技術も積極的に取り入れ、市場に求められるソリューションを創っていければと思います。

新しいソリューションで、本当にハッピーになれるお客様を開拓したい

今後の展望を教えてください。

上川:現在展開している3つのサービスを運営しながら、必要に応じて形を変え、より市場に求められるソリューションに磨いていきたいと考えています。フットワーク軽くサービスの形を変えられるのもベンチャー企業の良さだと思います。

例えば「そのまま展示会」であれば、どんな展示会に特化するのかでサービスの中身が変わってくると思いますし、「XR CHANNEL」も何に使って、どんなパートナーに提供するのか次第で中身は変わってくると思います。

重松:どれも新しい事業なので実際成功するかどうかはやってみないと分からないところがあります。ひとまずは3つを運営しながら様子を見つつ、次の事業も考えていきたいです。個人的にはドローンが好きで、将来性を感じているので、何かそれにまつわる事業ができるといいなと思ったりもしています。

上川:社内には新規事業開発に関して「これどう?」と誰でも気軽に提案できるカルチャーがあります。状況を見ながら、新しい事業も積極的に展開していければと思っています。

事業を運営する際、意識しているのは我々が生み出すソリューションを使って本当にハッピーになれるお客様を開拓することです。そのためにも、まずは良い事例をつくり、それを見た人に「我々もやりたい」と思ってもらえるようなソリューションを次々に提供できるような企業なりたいですね。

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