グループ参入で経営者として新たな挑戦。 モノの価値が伝わりにくい時代に必要なプラットフォームをつくる。

グループ参入で経営者として新たな挑戦。 モノの価値が伝わりにくい時代に必要なプラットフォームをつくる。
「運命の出会いを、ヒトとモノとコトの間に」という世界観を掲げるベクトルグループ。コミュニケーションを軸に世の中の流れを捉えた様々な事業・サービスを展開することにより、人々の暮らしに彩と運命の出会いを添えるべく、常に進化を続けています。「Professional」では様々な領域で社会に彩りを生むべく働くグループ会社社員に、取り組む仕事の社会的な意味や価値についてお話を伺います。

今回は、さまざまなジャンルのメディアプラットフォームを運営しつつ、企業のオウンドメディア運営サポートや、そのためのCMSの開発を行う株式会社スマートメディアの代表取締役社長、成井 五久実氏を取材。もともとWebメディア「JION」を立ち上げ、運営していた成井さん。事業売却によってベクトルグループ入りし、挑戦のステージが変わったことで生まれた変化についてお話を伺いました。

複数社が合併して生まれたスマートメディア

会社が今の形になるまでの経緯を教えてください。

そもそもスマートメディアは、メディア事業の収益最大化のため、第三者メディアを運営していた3つのベクトル子会社が合併してできたものです。合併当初は、これまでバラバラに運営していたメディア企業同士が力を合わせることで、より大きな成長が見込めるとの想定でした。しかし、その後のGoogleのアルゴリズム変更など受け、私はこのままメディア事業を続けていくのは難しいと考えていました。

そこで、蓄積してきたメディア運営のノウハウを活用し、お客様のオウンドメディア制作のサポートに力を入れるようになり、今年の3月には、SaaS型サイト構築クラウドサービス「Clipkit」を開発するラグル株式会社と合併しました。これに伴い、企業がメディアを制作・運用するためのCMSの提供を開始しました。これによってシステム構築からコンテンツ制作まで一気通貫で成長支援ができるようになりました。

複数のメディアが統合されたとのことですが、軋轢などはなかったのでしょうか?

最初は大変でしたね。組織のカルチャーも、所属している社員の年齢や性別も全く違う3つのメディアが合併したとあって、一つの会社としてまとまりを持つことが本当に難しかったんです。もともと私は男性向けメディア「JION」の代表で、年齢が近い女性5名の組織でした。それが、例えばラグジュアリー層向けメディア「OPENERS」のメンバーは4~50代の編集経験が豊富な方が多かったり、笑うメディアクレイジーのメンバーには元お笑い芸人や現役YouTuberがいたりと、組織の多様性が一気に増しました。

スマートメディアの代表取締役に就任した当初は、「JION」を立ち上げたときと同じく、社長としての仕事をこなしつつ、プレイヤーとして最前線で営業し売上を上げることを意識していました。仕事を一緒にやることで信頼関係が築ける点では、3社を束ねるときも同じだと思ったのです。自分が営業をし、獲得してきた案件を、垣根なくすべてのメディアをまたいで納品することで、だんだんと信頼されるように努力してきました。

また、ミッション・ビジョン・バリューを統一し、どの事業部も同じゴールに向けて走っていくんだというメッセージを伝え続ける、ということも意識してやっていました。

メディア業界の変化に合わせた事業づくりを

改めてスマートメディアのビジョンを教えてください。

2020年9月に「人の想いとテクノロジーで世界に彩りを」へと刷新しました。

これまで我々はメディアを運営する企業として、背景にある想いを大切にしながら、本当にいいと思うモノの情報の発信に取り組んできました。これからは、最新テクノロジーの力を活用して、我々が本当にいいと思うモノとヒトをつなげていきたいと考えています。

具体的な事業内容について教えてください。

現在、大きくは2つの事業に取り組んでいます。

一つは自社メディア運営です。東京ガールズコレクションの公式メディア「girlswalker」、ラグジュアリー層向けにファッションや自動車などの最新情報を提供するメディア「OPENERS」、暇つぶしに最適な1分で読めるクレイジーなネタを提供する「笑うメディア クレイジー」など、さまざまなジャンルに特化したメディアの運営を行っています。

もう一つは、企業のオウンドメディア立ち上げのサポートです。SaaS型サイト構築クラウドサービス「Clipkit」の提供とともに、我々が持つメディア運営のノウハウを活かし、オウンドメディアの立ち上げから運営までをトータルでサポートしています。

自社メディアの運営だけでなく企業のオウンドメディア制作のサポートをする背景には、メディア業界を取り巻く環境の変化があります。

2014年頃、企業が自分たちの想いを伝えるためにメディアをつくることがブームになり、多くの企業がオウンドメディア運用に乗り出しました。しかし、ただコンテンツを作るだけでは読まれるようにはならず、集客に苦戦する企業も多かったです。

2016年、今度は「キュレーションメディア」と呼ばれる、Web上のコンテンツをテーマに沿ってまとめるメディアが流行しました。しかし2020年、Google検索のアルゴリズムが変更され、第三者が発信する情報よりも一次情報の方が検索結果として上位に表示されるようになりました。それに伴って、再び企業のオウンドメディアのあり方が見直され、再ブームになりつつある状況です。

オウンドメディア支援領域におけるスマートメディア社の特徴を教えてください。

自社メディア運営のノウハウをもとに、人に見てもらえ、PVが伸びるメディアをつくるサポートができるのが特徴です。SEOやSNS集客のスキルを駆使し、それぞれのクライアントごとに最適な集客戦略を組み立てます。

例えばSNSでは、TwitterやInstagramなどのアカウント運営からサポートし、各メディアに集客できるようにします。具体的には、インフルエンサーとのコラボ企画やキャンペーンなどさまざまな手段のなかからクライアントに合わせて最適な方法を選択します。

責任が増え、考える幅が広がったことで真の経営者に

改めて、ご自身ではどの時期が一番苦労されましたか?

やはり統合直後ですかね。各メディアに勤めているメンバーからしても大変な時期だったと思います。3社それぞれのメンバーと向き合いつつ、2年かけて少しづつ信頼関係を築いていきました。

スマートメディアの代表取締役に就任した直後は、どのようなお気持ちだったのでしょうか?

親会社に代表として指名いただいたのですが、社員5名の小さなスタートアップ企業の代表からいきなり社員50名の組織を束ねるリーダーにしていただけるのは、この上ないキャリアチャレンジだと燃えました。

また、合併されて終わりではなく、さらにその先の上場を目指せるところにもわくわくしましたね。もともと私は、会社の譲渡は自社事業を伸ばすための手段として考えていた部分もありました。ベクトルグループに入れば約300名の営業さんたちからセールス支援も頂けますし、その分会社の業績を伸ばせると思ったんです。

初年度は赤字でしたが、最近になってようやく、事業が軌道に乗ってきています。そして今は、親会社から新しい、上場という目標を与えてもらいました。次々にネクストステップを用意してもらえることは、経営冥利に尽きると思います。

安定した基盤ができたので、これからは上場に向けて、さらに事業を拡大させる予定です。また、企業にとどまらず、メディアを持ちたいと考える全ての個人が利用できるプラットフォームづくりに力を入れたいとも考えています。

企業規模が変わっていくなかで気持ちに変化はありましたか?

ありました。元々は、どこか自分のために事業を立ち上げたところがありましたが、今は世の中にどんな価値を与えられるのかという視点で経営できていると思います。

そもそも私は両親が起業家で、昔から起業したいという気持ちも強かったです。学生時代にフリーペーパーを作っていた経験がありメディアそのものが好きだったことと、当時第三者メディアが流行していたことから、28歳のときに「JION」を立ち上げました。正直なところ、自分が何者かになりたいという気持ちも強かったんです。

しかしベクトルグループにジョインしてからは、世界が全く違って見えます。ミッション・ビジョン・バリューづくり、人事制度づくり、メンバーの成長と向き合う、など経営者として必要な経験をさせていただき、戦略構築やメンバーのマネジメントが楽しいと思えるようになりました。最近は、自分のためにというよりは、メンバーや世の中のことを考えて動けるようになり、本当の意味で経営者をやれてるなと感じます。

テクノロジーで、モノの魅力や想いをちゃんと届けられるように

最後に今後の展望を教えてください。

今後も、提供するプラットフォームを通じて、人が何かを伝えたいと思ったとき、伝わりやすい世の中をつくっていきたいと考えています。その結果、GDPの活性化など日本全体の経済活動にも貢献できると信じています。

世の中的には、これからますます情報のニッチ化が進むと考えています。情報が細分化されるということはある意味、伝わりにくくなるということでもあります。そこで、これまでベクトルグループが蓄積してきたノウハウや、弊社が開発しているプラットフォームを活用いただくことで、発信したい人の情報が、より伝えたい人に伝わると思うのです。

個人的な展望としては、これまでプレイヤーとして動いてきましたが、これからは次の組織をつくるための組織戦略に力を入れていきたいと思っています。

また、自社サービスでの世の中への価値提供を通じ、結果的には、女性の新しいキャリア開拓を体現できるのではとも思っています。女性でM&AとIPOをどちらも経験した経営者はなかなかいないと思いますので。

モノの良さやその背景にある想いが伝わりにくくなる時代において、テクノロジーの力を使い、ちゃんと伝えたい人に届くようにすることは我々のミッションです。そのためにも変化が早いメディア業界で、時代を捉え続け、我々自身も日々変化し続けられるような組織でありたいと思っています。

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