「熱」を帯びて、伝播する。デジタル全盛・激変する社会環境の中、PRだから提供できる、人間臭いコミュニケーション

「熱」を帯びて、伝播する。デジタル全盛・激変する社会環境の中、PRだから提供できる、人間臭いコミュニケーション
「運命の出会いを、ヒトとモノとコトの間に」という世界観を掲げるベクトルグループ。コミュニケーションを軸に世の中の流れを捉えた様々な事業・サービスを展開することにより、人々の暮らしに彩と運命の出会いを添えるべく、常に進化を続けています。「Professional」ではイノベーティブな視点と彩り豊かな個性を活かし、活躍するグループ会社社員に、自身が取り組む仕事の社会的な意味や価値についてお話を伺います。

今回は、グループ内でPRと広告の垣根を超えた統合コミュニケーションの戦略立案・実行を強みに持つ総合PR会社・株式会社プラチナムの取締役、浜木 駿介氏を取材。世の中とPRはどう変わっているのか、そしてデジタル全盛の今だからこそPRが提供できる価値について、お話を伺いました。
浜木 駿介
株式会社プラチナム 取締役
横浜市立大学卒業後、2006年株式会社ベクトルに新卒入社。同年株式会社プラチナムに出向しPR事業に従事する傍ら、PR TIMES設立時の営業職を兼任する。アカウントエグゼクティブとして飲料メーカー、エンターテインメント会社、金融企業、化粧品企業、商業施設など、国内外の幅広いクライアントを担当し、セールスからプランニング、ディレクションに至るまで多岐にわたって活動。2019年にプラチナム執行役員、2020年に同社取締役に就任。

「熱」を帯びて、伝播する。デジタル全盛・激変する社会環境の中、PRだから提供できる、人間臭いコミュニケーション|株式会社プラチナム 取締役 浜木駿介

参照元: YouTube

機能では差別化が図れない時代に、社会的文脈を付加することで振り向いてもらう

御社の事業内容を教えてください。

我々は「PRの力で商品や企業、ブランドの価値を創り、社会に貢献する=ONE MORE VALUE」というミッションを掲げていて、いいモノを世の中に広めるサポートを行っています。広告とPRの垣根を超え、あらゆるソリューションを駆使しながらコミュニケーションの戦略立案から実行までを行うのが特徴です。

今の時代、商品やサービスは機能的な価値だけでは差別化が図れず、選んでもらいづらくなっています。また広告的アプローチが効かないことも多く、よりパブリック、PR視点が重要になってきています。そこで我々は商品やサービスに社会的な価値をつくることを重視し、よりPublic Relations、「企業と社会の友好的な関係性づくり」の視点を意識しながら戦略を立案し、世の中に新しい価値を生み出しています。

PR市場が変化している要因は何なのでしょうか?

SNSの出現により、メディアのあり方が大きく変わったことだと思います。生活者が自ら情報を発信するようになり、情報の流通経路が変わりました。また、NetflixやYouTube、AbemaTVなどマス以外のメディアが台頭していくなかで、可処分時間の奪い合いが起こっており、マスメディアの「マス」という概念がなくなってきたことも要因の一つです。

それによってテレビ・新聞など、これまで主流だったマスコミュニケーションだけでなく、もっとニッチな特定のクラスター内で情報を流通させることが重要になりました。PRに求められる役割も、特定のクラスター内で情報が自走し、自然と広がっていく仕掛けの設計にシフトしています。

市場の変化に伴い、コミュニケーションを設計する上で何がポイントになるのでしょうか?

個人的には、いかに生活者と社会に向き合うかが重要になってきていると思います。企業からの一方的な情報発信では生活者は振り向いてくれないので、生活者の思考を深掘りし、課題や深いインサイトを見出すことがまず重要です。一方で、生活者だけ見ていても、ありがちなコミュニケーションになってしまうので、いかに社会的な視点を取り入れるかもポイントになります。そうすることで、共感が生まれたり、世の中に広がっていく情報になっていきます。

社会に向き合うということは、社会課題に向き合うことでもあります。たとえば最近実施している施策では、コロナ禍によりリアルでのコミュニケーションが取れなくなったことで躁鬱の症状を抱える大学1年生が10人に1人いると言われている現状を踏まえ、彼らの感情にどう寄り添えば課題を解決できるのか、そのために商品やサービスはどんな風に役に立てるのかと考えています。商品やサービスに社会的な文脈をつけていくという視点を大切にしています。

「大切な人と会えない」コロナ禍の人の心を捉えたコミュニケーション施策

印象的な事例があれば教えてください。

コロナ禍での社会情勢を踏まえて手掛けた、紅茶ブランド「リプトン」のPRが印象的です。

リプトンの販売を手掛けるユニリーバ様は、数年前からパーパス(ブランドの存在意義)を軸としたPRのあり方にシフトしていました。あらゆるもののコモディティ化が進むなか、パーパスを通じてお客様との関係性を構築することで選ばれるブランドになっていくというコミュニケーションです。

なかでもリプトンは「Be awake to quality connections(大切な人との確かなつながり)」というパーパスを掲げており、紅茶を飲むことで生まれるちょっとした心の余裕から、大切な人とのつながりに気づいて欲しいという願いをもっているブランドです。

日本にはたくさんの紅茶のチョイスがあり、価格帯の選択肢も幅広く存在します。ユーザーが紅茶のコーナーで同じような商品で迷った際に、ただ単に価格やパッケージの印象だけで選ぶのではなく、「やっぱりリプトンを買おう」と思ってもらう必要があり、そのためにもブランディングが必要でした。

そこで我々が考えたのは、コロナ禍でなかなか人と会えない状況下で、「つながろう、心と心で。STAY HOME, STAY CONNECTED.」をテーマに、大切な人に紅茶と一緒にメッセージを送る「茶中見舞い」という企画でした。リリースしてすぐに、企画の口コミがSNSやWebを中心に広がり、リプトンに対する好意的なコメントも増えました。大切な人と会えていない時期だからこそ心に響く人が多かったのかなと思っています。

浜木さんがクライアントと向き合う時に大切にされていることは何でしょうか?

クライアントがやりたいことを実現するというのはもちろんあるのですが、その真意を深く伺うようにしています。仮に「インフルエンサー施策をやってみたいんだよね」と言われても「なぜやりたいんですか?」と深掘りしていきます。場合によっては「本質的な課題はこちらではないですか」と別のソリューションをご提案することもあります。

「商品やサービスをテレビに出してください」というご依頼って非常に多いのですが、昨今の情報の流れを考えた時に、テレビというメディアが合わない時もあります。そういう時も、お客様の課題に向き合ったうえで、より本質的な課題解決につながるソリューションを提案することを心がけています。

社会課題に向き合う文化をまず生み出し、スポンサーをつけるPRの新たな形

今後の展望を教えてください。

プラチナム単体で、これまでの領域以外でも、PRの発想で新しいビジネスを立ち上げ、グロースさせていきたいと思っています。

また、社会課題を見つめてきたPR会社だからこそ、社会課題を解決しつつ、お客様もハッピーになれる仕事を増やしていきたいという使命感を持っています。

現在取り組んでいるプロジェクトに、ドライブインシアターがあります。コロナ禍で映画館に行けなくなった人々のために、車に乗りながら映画鑑賞ができるという体験を提供したい、さらに自粛が相次ぎ意気消沈しているエンタメ業界に何か貢献がしたい、今だからこそ絶対に求められているサービスだと、プラチナムのメンバーが発案し、クラウドファンディングで資金を募って展開しているプロジェクトです。

シアタープロデュースチーム「Do it Theater」とタッグを組み、コミュニケーション周りは全てプラチナムが担うという形で実施しました。まず社会課題に向き合う新しい文化を創るという構想があり、そこにスポンサーをつけることで収益をあげるビジネスモデルで、これもPRの新たな形になりうるかもしれません。

変化する社会環境の中、人間臭いコミュニケーションで、社会的・事業的双方の価値を創り出す

PRならではの良さと、今の時代に貢献できることとはなんでしょうか。

デジタル全盛で情報が溢れている今、心が通わない情報もたくさんあります。人に伝わっていく、伝えたいと思える情報というのは、「熱」を帯びています。「この商品いい!この企画がいい!」と「共感」することで、誰かに伝え、その「熱」が伝播していく。そういった人間臭いコミュニケーションがPRの良さであり、素晴らしさであると思います。だからこそこの「世の中に広がっていく」「共感して誰かに伝えたくなる」という仕組みづくりや、それを内包したコンテンツを創っていくことこそがプラチナムの使命だと思っています。

プラチナムのミッションはONE MORE VALUEですが、時代が変わっていく中でバリューのあり方は多岐に渡ってきています。今はより複雑な社会環境の中で、社会的な価値と事業的な経済価値を両方つくっていかないと事業は伸びなくなっています。今後はより一層新しい価値を創り出していくことを大切にし、強化していきたいです。

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