ベクトルグループが目指すダイバーシティ&インクルージョン。多彩な才能とバックグラウンドを持つ全ての社員が活躍できる環境を創り出すために。

ベクトルグループが目指すダイバーシティ&インクルージョン。多彩な才能とバックグラウンドを持つ全ての社員が活躍できる環境を創り出すために。
コミュニケーション領域のFAST COMPANYとして「いいモノを世の中に広め人々を幸せに」というビジョンを掲げるベクトルグループ。コミュニケーションを軸に世の中の流れを捉えた様々な事業・サービスを展開することにより、常に進化を続けています。「Philosophy」では、経営陣にベクトルグループのこれまでの歩みや今後のビジョンについて伺います。

ベクトルグループでは、SDGs経営/ESG投資のさらなる推進に向け、ダイバーシティ&インクルージョンをグループ全体の重点施策と位置付け、その取り組みを強化しています。なぜ今、ダイバーシティ&インクルージョンなのか、目指すゴールとはどのようなものなのか。このプロジェクトを中心となって推進していく、株式会社ベクトル 取締役・ダイバーシティ&インクルージョン推進担当役員を務める吉柳さおり氏にお話を伺いました。
吉柳 さおり
株式会社ベクトル 取締役・ダイバーシティ&インクルージョン推進担当役員
株式会社プラチナム 代表取締役社長

大学在学中にPR会社ベクトルに入社し創業に参画。2002年にベクトル取締役に就任。2004年にPR事業会社プラチナムを設立し代表取締役に就任。ベクトルグループはPR事業、デジタルマーケティング事業、ダイレクトマーケティング事業、メディア事業など、グループ42社、中国、インドネシアをはじめアジア各国に16拠点をもち、様々な事業を展開するグループ。  取締役としてグループの人事・採用・制度改革など、ダイバーシティ経営に邁進。PR事業領域において多くの大手企業の事業コンサルティングに携わり、企業のESG/SDGsの企業・ブランド価値創造に尽力すると同時に広報視点での 企業のESG/SDGs への取り組みの必要性をセミナー等で発信している。

皆がありのままでいられ、全員に活躍の場がある「Diversity & Inclusion & Belonging」を目指す。

ベクトルグループが「ダイバーシティ&インクルージョン」で目標とするのは、どのような環境の実現なのでしょうか?

私たちにはもともと、全員が積極的にアイディアを出し合い「その意見いいね!」と言いあえる環境があります。この「Think Straight , Talk Straight(シンク・ストレート , トーク・ストレート)」なカルチャーは、ベクトルグループの行動指針である「vector’s Rock」のひとつとして、永く大切にしてきました。

また、創業期から社員のバックグランドに関係なく一人ひとり異なる才能の多様性を活かし、ワイルドに活躍しようという想いを込めて「WILDNESS(多様性の本質)」を掲げてきました。2011年の海外拠点創設以降は、多様な国籍の社員が在籍するようになりましたが、当然ながら国籍も含めた多様性を活かす方針を掲げています。

これらのカルチャーを再認識した上で、いま私たちベクトルグループが推進するダイバーシティ&インクルージョン戦略は、「Diversity & Inclusion & Belonging」です。この「Belonging(ビロンギング)」は、ここでは「ありのまま」という意味でとりいれたのですが、最終的なゴールは、あらゆる声が受け止められ、「ダイバーシティ&インクルージョン」を語る必要がない環境の実現、皆がありのままでいられる全員にとって居場所がある信頼ある文化を創ることです。

「ありのまま」であることは個人のやりたいことを応援することでもあります。私たちは「才能も多様性の一部」だと考えており、本人ですら気づいていない才能を引き出せるような制度を新しく取り入れていくことで、「ありのまま」の個人が活躍できる環境づくりを目指していきます。

何かが苦手でも他の何かの才能が秀でている社員はたくさんいます。その才能をマネジメントで引き出し、多様な価値観や視点をもとに、皆のいいところを受け入れていくカルチャーはすごく大事ですし、仲間のいいところを見つけて伸ばしていくことを大切にするようにと社内でも伝えるようにしています。個人の成長は集積値として会社の成長に直結しますし、多様な視点と意見があるからこそ生まれるセレンディピティを新規事業に活かしたり、アイデアを会社や事業の価値に昇華させることもできます。その才能の多様性もまさに事業成長の源泉になるのだと思います。

グループ全体の半数以上が女性、2025年には女性管理職比率を40%に。

現在のダイバーシティの状況について教えてください。

まずジェンダーバランスについては、現在約1,500名いるグループ社員全体の55%を女性が占めています。元々、女性が活躍することの多いPR事業が主軸となっている会社ということもあり、基本的に新卒採用は男女同じ人数です。女性の採用数が上回ることも多々あります。女性管理職比率は現在、日本企業の平均11.8%*を超える約20%を占めていますが、これを4年後の2025年までに40%まで高めていく予定です。今年の3月から始まる新年度から、女性管理職がさらに増える予定なので、その時点で30%を超える可能性は十分にあり、この目標は非現実的ではないと考えています。
* 18年度 厚生労働省「雇用均等基本調査」より

多国籍採用については、グループ全体10%強に当たる165人が外国籍です。国内においても外国籍スタッフが約3%を占めます。特にゲーム事業などグローバル展開する事業におけるダイバーシティが進んでいます。また、障がい者雇用率は2.59%で、特徴としては、特殊職務ではなく通常業務での採用を行っています。

創業時からダイバーシティの一躍を担ってきたらこそ、責任を持って推進していきたい。

女性の社員比率が高いですが、今までどのようにダイバーシティを推進してきたのでしょうか?

創業時から女性比率が高かったこともあり、経営会議の中で女性社員の活躍や昇進、ポジションを課題にした議論をしたことがありません。

私がベクトルの取締役になったのは18年前の2002年です。それから会長の西江、社長の長谷川、私の3人が取締役を務めていた時代が長く、取締役の女性比率は長きにわたり33%でした。

このような背景もあり、ベクトルグループには元々ジェンダーバイアスが一切なく、世の中でダイバーシティが経営戦略の重要事項と位置付けられるよりも前から、ダイバーシティ&インクルージョンのカルチャーが組織のベースにあったと感じています。

また、先に述べたとおり、ダイバーシティの実現度合いをはかる指標として様々な項目を数値化し、望ましい数値・状態を実現できているのですが、企業として成長し、社員数がまもなく1,500人を超える規模となる中で、さらに推進していかなければならない項目はまだまだ数多くあると考えています。

そんな中で、ベクトルのダイバーシティを考えた時に、創業間もない頃から役員を務め、ダイバーシティの一躍を担う私自身が責任を持って取り組んでいかなければならないと感じ、ダイバーシティ&インクルージョン推進担当役員に就任したのです。

事業成長を握る鍵であり、イノベーションの源泉が「ダイバーシティ&インクルージョン」

ダイバーシティ&インクルージョンの推進はグループの重点施策と定め、その取り組みを強化していく理由についてお教えください。

現在、ベクトルグループは41の連結子会社、中国・韓国・ASEAN・米国に9カ国、17の海外拠点を有し、主力PR事業をはじめデジタルマーケティング、ダイレクトマーケティング、メディアといったコミュニケーション領域の各事業及びD2Cやライブコマース、投資事業に至るまで幅広い領域で事業を展開しています。

海外拠点では多国籍社員をマネジメントしていく上でも、出身国のカルチャーや国民性を理解し認め合うことが当たり前ですし、日本企業の海外進出をサポートする上でも、現地スタッフの考えを取り入れローカライズされた視点で設計したり、現地事業を創出したりしてきました。ベクトルは2011年から海外展開を開始しており、約10年間このような考え方を当たり前のものとして企業経営を続けてきたのです。

また国内においても、すべての事業に共通する成長の鍵と言えるのが「クリエイティビティ」です。クリエイティビティは、ベクトルグループのビジネスにおいて、イノベーションを生み出すキードライブ(土台)だと考えています。インサイトを読み解いたり新規ビジネスを創っていく上で、固定概念にとらわれていては画期的なブレイクスルーは生まれません。多様な価値観を持つ者同士が率直に意見を言い合える環境があってはじめて、今までにない価値、イノベーションを生み出すことができます。ダイバーシティ・インクルージョンは、まさしく我々の事業成長を握る鍵であり、イノベーションの源泉なのです。

ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な取り組みについて教えてください

インクルージョン施策として、グローバル社員や様々なバックグラウンドを持つ社員をオウンドメディアで定期的に紹介しています。また、多国籍国家であるマレーシアやインドネシアなどの海外支社では、人種や宗教ごとに様々な特徴のある季節行事を取り入れることで、文化の相互理解を深める取り組みなども行っています。

また、採用活動においては、場所や時間を問わず参加できる「バーチャル新卒採用EXPO」を昨年より開催しています。グローバル人材及び地方学生の採用をより一層積極的に行っていきたいと考えています。

社内制度においては、個人の能力を高め、持続的に働き続けられる環境を構築するために、外部講師を招いた従業員向けスキルアップ研修「プロ研」を定期的に実施しているほか、明確な意思と実行力、キャリアビジョンのある社員がキャリアパス及びライフステージに応じた働き方を実現するために、グループ内各社への異動が可能な「キャリアチャレンジ制度」を設けています。

ボトムアップで誕生した施策、有志のメンバーで構成される女性活躍支援プロジェクトも発足しています。女性の働き方改革について先進的に取り組まれる様々な企業と連携、意見交換を行い、様々なライフステージにいる社員が、自分の強みを大いに発揮して活躍しやすい働き方をするための施策を人事部門に提案し、実現に向けて活動しています。

また、PR人材の育成と適材適所マッチングを行なっている新事業「SCALE」はまさに、多様な働き方を通じて個人の能力を発揮することができる事業だと思っており、ダイバーシティの一環と位置付けています。

「女性活躍」という言葉が議論に上がるうちは、真のジェンダーレスは生まれない。

今後、さらに推進していくダイバーシティの本質についてお聞かせください。

女性の管理職比率を4年後の2025年に40%にすることを掲げておりますが、大切なのは数字ではないし、数字は本質的な目的ではないと考えています。

私も、役員になった当初は多くのメディアに取り上げられましたし、クライアント企業からも「初の女性役員が誕生したことをPRしたい」というご希望をいただくことがあります。しかし、大切なのは「初の女性役員が誕生したこと」ではなく「その人が独自の個性と才能を活かして何を成し遂げたのか」にあると思っています。

また、「女性の活躍」がわざわざ話題に上がることがない世の中にならない限り、真のジェンダーレスは生まれないと思っています。「女性だから」管理職になる、役員になるというわけではなく、「自らのビジョン」と「意思」と「実行力」がある方には、男女問わず活躍できる環境を創ることが重要です。
昨年、LinkedInが発表した調査によると、「日本人の女性で役職や管理者になりたくない」という人が7割以上もいることがわかりました。これはまさしく現代の若い女性たちのリアルな気持ちであり、考慮しなければならないことだと思います。

そういう社会的背景を踏まえても、女性管理職の人数にこだわりすぎることは真のダイバーシティではなく、ジェンダーとは無関係に社員が活躍できる・したいと思える環境があり、実際に活躍できることが大切だと考えています。そういう意味でも、活躍したいと思う社員がライフステージに合わせたフレキシブルな体制や働き方で活躍し続けられる環境・サポート体制づくりを強化していきたいと考えています。

また、男女関係なく個人の成長を促進させ能力を高め、個人が希望するキャリアパスやライフステージに応じた働き方を支援するため、若手社員のサポート役として先輩社員を配置するメンター制度や、3ヶ月毎の面談を通じて、個人がやりたいこと、なりたい姿、実現したい目標等を明確化する手助けをしたり、先ほど述べた「キャリアチャレンジ制度」などを通じて、個人のアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を取り除きながら、本人すら気づいていない自分自身の価値を見つけ出す、「真の才能開発」につなげていきたいと考えています。

グループ内で多種多様な事業が生まれている今、グループ内での人財の循環は一人ひとりの成長を高めるだけでなく、様々なシナジーとイノベーションが生まれる源泉でもあると考えています。人財の循環を高めながら、一人ひとりの成長を支援し、グループ全体としてもさらに成長していきたいと思います。

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